
院長:高木お気軽にご相談ください!

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前鋸筋という筋肉を聞いたことがある方は少ないかもしれません。この筋肉は脇の下から肋骨にかけて存在しており、体の側面に位置しています。具体的には第1〜第9肋骨の外側から始まり、肩甲骨の内側縁まで伸びているのが特徴です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 起始 | 第1〜第9肋骨の外側 |
| 停止 | 肩甲骨の内側縁 |
| 位置 | 胸郭と肩甲骨の間 |
| 特徴 | のこぎり歯状の形状 |
名前に鋸という文字が使われているのは、その形状がのこぎりの歯のようにギザギザとしているためで、比較的大きな筋肉に分類されます。胸郭と肩甲骨の間に存在するこの筋肉は、普段あまり意識することはありませんが、実は腕を動かす際に非常に重要な働きをしているんですよ。
前鋸筋の最も大切な役割は、肩甲骨を外転させることにあります。外転というのは、肩甲骨が背骨から離れて体の前方向に動く動作のことを指します。実は肩甲骨を外転させる機能を持つのは前鋸筋だけであり、他の筋肉では代わりがきかない動作なのです。
この外転動作によって、腕を前に伸ばす際のリーチが大幅に広がります。手先だけを前に伸ばすのと比べて、肩甲骨が動くことで腕の可動域が格段に増えるわけですね。ボクシング選手の背中が広く見えるのは、パンチを打つ際に前鋸筋が発達するためで、ボクサー筋とも呼ばれています。
また前鋸筋は肩甲骨の上方回旋や下方回旋にも関与し、肩甲骨を胸郭の上でしっかりと安定させる役割も担っています。
意外に思われるかもしれませんが、前鋸筋は呼吸にも関係しています。肩甲骨を固定した状態では肋骨を引き上げる作用があり、呼吸筋として補助的な役割を果たしているのです。
デスクワークで前屈みの姿勢が続くと、この筋肉が硬くなって呼吸が浅くなることもあります。
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パソコン作業やスマホを見る時間が長いと、前鋸筋が硬くなりやすくなります。これらの作業では体が前かがみになり、肩甲骨が外転したまま固まってしまうためです。本来であれば肩甲骨を動かして筋肉を伸び縮みさせる必要があるのですが、デスクワークではほとんど体の前側だけで作業が完結してしまうんですね。
キッチンでの料理や洗い物も同様で、腕を大きく使うことが少ない日常動作が続くと、1日の中で腕を高く上げる動作がまったくないという日もあるかもしれません。こうした動きの少なさが前鋸筋を硬くする大きな要因となっています。
前鋸筋が硬くなると、肩甲骨が外側に広がって背中が丸くなります。これが猫背や巻き肩につながるわけですが、実は前鋸筋だけが原因ではありません。
背骨が丸くなることで胸椎も後ろへの丸みが強くなり、それに合わせて肋骨が前側に丸まります。すると肋骨の上に乗っている肩甲骨も自然と前側に引っ張られ、前鋸筋が短縮した状態で固まってしまうのです。
こうなると以下のような症状が現れることがあります。
前鋸筋の状態を確認するには、壁に背中をつけて立ち、両腕を万歳するように上げてみてください。このとき腕がスムーズに耳の横まで上がらなかったり、肩甲骨が背中から浮き出てしまう場合は、前鋸筋の柔軟性や安定性に問題がある可能性があります。
肩甲骨が翼のように浮き出る状態を翼状肩甲と呼び、前鋸筋による肩甲骨の安定性が不足していることを示しています。
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まずは自分の手を使って前鋸筋をほぐす方法からご紹介します。脇の下から肩甲骨の外側にかけて、指を食い込ませるようにして筋肉を探ってみましょう。硬くなっている部分を見つけたら、その場所を30秒ほどじっくり押さえます。
このとき反対側の手で押さえると力が入りやすいですね。肩甲骨の外側のラインに沿って、少しずつ位置をずらしながらほぐしていくと効果的です。痛気持ちいいと感じる程度の強さで行うのがポイントになります。
次に肋骨の骨と骨の間に指先を当てて、上下左右にゆっくり揺らす方法があります。前鋸筋は肋骨から始まっているため、この肋骨周辺をほぐすことで筋肉全体の緊張が和らぎやすくなるのです。
脇の下あたりから胸の横にかけて、肋骨を触りながら指を滑らせていくと骨と骨の間に指が入り込む感覚がわかります。そこで小刻みに揺らすようにマッサージしてあげましょう。呼吸をしながら行うと、より深い部分までアプローチできますよ。
道具を使ったほぐし方もおすすめです。フォームローラーやストレッチポールを脇の下に当てて、横向きに寝転がります。体重をかけながらゆっくり前後に転がすことで、手では届きにくい深い部分までほぐすことが可能です。
この方法は広い範囲を一度にケアできるため、時間がない方にも適しています。
ほぐす強さは痛みが強すぎない程度に調整してください。筋肉を傷めないよう、最初は優しい力加減から始めて徐々に強くしていくのが安全です。肋骨は骨折しやすい部位でもあるため、無理に押し込まないよう注意しましょう。
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壁に両手をついて腕立て伏せの姿勢をとります。そこから肩甲骨を外側に押し出すようにして、背中を丸める動きを意識してください。このとき肘は伸ばしたままキープするのがポイントです。
10秒キープを3セット行いましょう。肩甲骨が胸郭から離れていく感覚を味わえると正しくできている証拠ですね。
立った状態で肘を90度に曲げ、腕を体の横に構えます。そこからゆっくり肘を後ろに引いていくと、前鋸筋が気持ちよく伸びていきます。
このストレッチは肩甲骨の内転動作を促すため、外転で硬くなった前鋸筋を効果的にほぐせるのです。左右それぞれ15秒ずつ、2セット繰り返してみてください。
壁に対して横向きに立ち、肘から手のひらまでを壁につけます。その状態で体重を前方にかけていくと、脇の下から前鋸筋にかけて深いストレッチがかかります。
呼吸を止めずに20秒ほど伸ばし続けるのがコツです。痛みが強い場合は体重のかけ方を調整しましょう。
横向きに寝転がり、脇の下にクッションや丸めたタオルを挟みます。そのまま深呼吸をしながら1分ほどキープすると、重力を利用して前鋸筋が自然に伸びていきます。
寝る前のリラックスタイムにも最適な方法ですよ。
四つ這いの姿勢から、息を吐きながら背中を丸めて肩甲骨を外に広げます。次に息を吸いながら背中を反らせて胸を開く動作を繰り返してください。
この動きは胸郭全体の可動性を高め、前鋸筋の柔軟性向上につながります。10回を2セット行いましょう。
| ストレッチ方法 | 時間・回数 | ポイント |
|---|---|---|
| 壁押しストレッチ | 10秒×3セット | 肘を伸ばしたまま |
| 肘を後方へ引く | 15秒×2セット | 肘は90度 |
| 壁に肘をつける | 20秒キープ | 呼吸を止めない |
| 側臥位ストレッチ | 1分キープ | クッションを使用 |
| キャット&ドッグ | 10回×2セット | 呼吸と連動 |
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前鋸筋のストレッチは呼吸と組み合わせることで効果が大きく変わります。息を吸うときに筋肉を緩め、吐くときにゆっくり伸ばしていくのが基本です。
前鋸筋は呼吸筋としての役割も持っているため、呼吸に合わせて動かすことで自然な伸び縮みが生まれます。特に肋骨が動く感覚を意識しながら深呼吸すると、普段使えていない筋肉の部分まで刺激が届きやすくなるんですね。
いきなりストレッチを始めるよりも、まず肩甲骨を軽く動かす準備運動を取り入れましょう。肩をゆっくり回したり、肩甲骨を寄せたり離したりする動作を5回ほど繰り返すと、筋肉が温まってストレッチの効果が高まります。
こうした準備運動は怪我の予防にもつながるため、面倒がらずに行うことをおすすめします。
ストレッチを行う最適なタイミングは朝起きた後と夜寝る前です。朝は体をすっきり目覚めさせる効果があり、夜は1日の疲れをリセットできます。
理想的な頻度は1日2〜3回ですが、無理のない範囲で続けることが何より大切です。毎日少しずつでも継続することで、前鋸筋の柔軟性が徐々に向上していきます。
ストレッチで前鋸筋を柔らかくすることは重要ですが、それだけでは不十分なケースもあります。肩甲骨を適切に動かし、安定させるためには筋肉を使える状態にすることが必要です。
日常生活で意識的に腕を大きく動かしたり、肩甲骨の外転動作を取り入れたりすることで、ストレッチの効果をより実感できるでしょう。
セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、痛みが強くなる場合は専門家に相談することをおすすめします。翼状肩甲など構造的な問題がある場合は、適切な施術やトレーニング指導が必要になることもあるためです。
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前鋸筋は肩甲骨を外転させる唯一の筋肉であり、腕の可動域や呼吸にも関わる重要な部位です。デスクワークやスマホ姿勢で硬くなりやすく、猫背や巻き肩の原因にもなります。
自宅でできるセルフケアとして、手指を使ったほぐし方や壁を使ったストレッチ、フォームローラーの活用などがあります。呼吸と連動させながら行うことで効果が高まり、朝晩の習慣として続けることで柔軟性が向上していきます。
ただし柔らかくするだけでなく、日常生活で積極的に肩甲骨を動かして使える筋肉にすることが大切です。セルフケアで改善しない場合は、専門家に相談して適切な指導を受けることをおすすめします。
引用元:https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/lifestyle/beauty/22140/
引用元:https://yogajournal.jp/15732