
院長:高木お気軽にご相談ください!

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腰椎すべり症という病名を耳にされたことがあるでしょうか。これは背骨を構成する腰椎の一部が前方にずれてしまう状態を指します。ずれた骨が神経を圧迫することで、様々な症状が現れるといわれているんですね。
代表的な症状としては、腰の痛みがまず挙げられるでしょう。ただ、腰痛だけではなく下肢のしびれや痛みを感じる方も少なくありません。長い距離を歩くと足がしびれて休憩が必要になる間欠性跛行と呼ばれる症状も、すべり症の特徴的なサインのひとつとされています。
すべり症が起こる原因は大きく分けて2つあります。ひとつは加齢による変性すべり症です。年齢を重ねると椎間板や靭帯が徐々に傷み、腰椎を支える力が弱まってしまうためと考えられています。特に40代以降の女性に多く見られる傾向があるようです。
もうひとつは若い頃のスポーツなどによる疲労骨折が原因となる分離すべり症です。腰への繰り返しの負担が積み重なることで、骨が分離してしまうケースですね。
日常生活における姿勢の崩れや筋力の低下も、すべり症を悪化させる要因として指摘されています。体を支える筋肉が弱まると、腰椎への負担が増してしまうわけです。
ここで注目したいのが体幹筋の役割です。特に腹横筋や多裂筋といった深部の筋肉は、大きな力を発揮するわけではありませんが、背骨を安定させる機能を持っているとされています。これらの筋肉が適切に働くことで、腰椎のグラつきを抑え、神経への圧迫を軽減できる可能性があるんですね。
実は腰痛を持つ方は、この腹横筋の働きが低下しているという報告もあります。だからこそ、体幹筋を鍛え直すことが、すべり症の症状緩和や進行予防につながると考えられているわけです。筋トレによって脊椎の安定性が向上し、痛みの軽減や姿勢の改善が期待できるかもしれません。
まず最初におすすめしたいのがドローイン運動です。これは腹横筋を効果的に鍛える基本中の基本といえるでしょう。仰向けに寝て両膝を立てた状態から、息を吐きながらおへそを背中側に引き込むように意識します。この時、腰と床の隙間を少し埋めるようなイメージで行うのがコツです。
10秒間キープして、これを5回程度繰り返してみましょう。呼吸を止めずに自然に続けることが大切ですね。ドローイン運動は寝たまま行えるため、痛みがある時期でも比較的安全に取り組めます。
次に骨盤傾斜運動、別名ポスタリングチルトと呼ばれる動きです。仰向けに寝て膝を立て、骨盤をゆっくりと前後に傾ける運動になります。腰を床に押し付けるように骨盤を後ろに傾けて5秒キープし、反対に腰を少し浮かせるように前に傾けます。
この動きを10回ほど繰り返すことで、骨盤周りの筋肉のバランスが整いやすくなるといわれているんです。急激な動きは避けて、ゆったりとしたペースで行いましょう。
ショルダーブリッジは大殿筋やハムストリングスを鍛える効果的な筋トレです。仰向けに寝て膝を立て、お尻をゆっくりと持ち上げます。肩から膝まで一直線になるよう意識しながら、10秒間その姿勢を保ちましょう。
お腹に力を入れたまま行うことで、体幹も同時に鍛えられます。10回を1セットとして、無理のない範囲で続けてみてください。
四つ這いになって、右手を前方に伸ばしながら左足を後方に伸ばす運動です。この姿勢を10秒キープして、反対側も同様に行います。体幹の安定性が向上し、バランス感覚も養われるでしょう。
腰が反らないよう、お腹の力を抜かずに行うことがポイントです。5回から10回を目安に、左右交互に繰り返してみましょう。
四つ這いの姿勢から、背中を丸めて猫のように背骨を丸め、次に背中を反らして犬のように胸を開く動作です。この動きを繰り返すことで、背骨全体の柔軟性が高まるとされています。呼吸に合わせてゆっくりと10回程度行ってみましょう。
すべり症の方が特に避けるべき動作があります。それは腰を大きく反らす運動です。バックエクステンションのように腰を反らせる筋トレは、すでにずれている腰椎にさらなる負担をかけてしまう恐れがあるんですね。
腰を反らす動作は、腰椎への伸展ストレスを増大させ、神経の圧迫を強めてしまう可能性が指摘されています。症状が悪化するリスクがあるため、控えめにしたほうがよいでしょう。
腰をひねる回旋運動も、すべり症には好ましくないとされています。おしりの筋肉や胸椎が硬いと、体を捻る際に腰椎への回旋ストレスが大きくなってしまうためです。
ゴルフのスイングやテニスのサーブなど、腰を大きくひねるスポーツ動作は、慎重に行う必要があるかもしれません。日常生活でも、急に振り返る動作には気をつけましょう。
バーベルスクワットやベンチプレスといった高負荷のウエイトトレーニングも、すべり症の方にはおすすめできません。重い重量を扱うことで腰椎に過度な圧力がかかり、すべりを進行させてしまう危険性があるからです。
筋トレを行う際は、自重か軽めの負荷から始めて、徐々に体を慣らしていくアプローチが安全といえるでしょう。無理に負荷を上げようとせず、正しいフォームを優先してください。
反動をつけた腹筋運動や、勢いよく体を起こす動作も避けたい運動のひとつです。急激な動きは腰椎に瞬間的な衝撃を与え、症状を悪化させる可能性があります。
ストレッチや筋トレを行う際は、ゆっくりとした動作を心がけ、呼吸を止めないようにしましょう。焦らず丁寧に行うことが、安全な運動の基本です。
何より大切なのは、痛みが強い時には無理に運動しないことです。痛みは体からの警告サインといえます。症状が落ち着くまでは安静を保ち、回復してから少しずつ運動を再開するのが賢明でしょう。
運動中に痛みを感じたらすぐに中止して、専門家に相談することをおすすめします。自己判断で続けると、かえって症状を長引かせることになりかねません。
筋トレと並行して取り入れたいのがストレッチです。まず腸腰筋のストレッチから始めましょう。股関節の前面が硬いと、体を後ろに反らした時に骨盤が後ろに傾きにくくなり、腰椎への伸展ストレスが大きくなってしまうんです。
足を前後に開いて、前の膝を立てた状態で後ろ足の股関節を前方に押し出すように20秒間キープします。この時、腰を反らさないよう注意してください。左右交互に行うことで、股関節の柔軟性が向上する可能性があります。
太もも前側の大腿直筋が緊張していると、骨盤の位置に影響を与えてしまいます。立った状態で片足の足首を持ち、かかとをお尻に近づけるようにして太もも前面を伸ばしましょう。
バランスを取るのが難しい場合は、壁や椅子に手をついて行っても構いません。20秒程度キープして、反対側も同じように伸ばします。無理に引っ張りすぎず、心地よい伸び感を感じる程度で十分です。
おしりの筋肉が硬いと、体を捻る時に腰椎への負担が増してしまいます。仰向けに寝て、右膝を立てた状態で左足首を右太ももにのせます。両手を右太ももの裏に回し、太ももを胸に近づけるように引っ張って20秒キープしましょう。
この時、左のおしりの筋肉がストレッチされるのを感じられるはずです。足を変えて反対側も同様に行ってください。おしりの柔軟性が高まることで、腰への回旋ストレスが軽減される可能性があります。
胸椎の柔軟性も大切なポイントです。横向きに寝て両手を前に伸ばした状態から、上の手を背中の方へ伸ばして20秒程度キープします。顔も伸ばした腕と同じ方向を向き、胸椎や胸まわりの筋肉が伸びているのを感じましょう。
注意点として、この時に腰を捻らないように気をつけてください。あくまで胸の部分をひねることで、腰への負担を軽減できます。反対側も同じように行いましょう。
最後に膝抱えストレッチです。仰向けに寝て両膝を胸に抱えるようにして、腰部全体をリラックスさせます。ゆっくりと深呼吸しながら30秒程度キープすることで、腰回りの緊張がほぐれやすくなるでしょう。
このストレッチは運動後のクールダウンとしても効果的です。筋トレとストレッチを組み合わせることで、より安全に腰椎の安定性を高められる可能性があります。
すべり症の予防には、日常生活における姿勢の見直しが欠かせません。デスクワークの際は、椅子に深く腰掛けて背もたれを活用しましょう。パソコン画面は目線の高さに合わせ、前かがみにならないよう注意してください。
立ち姿勢では、お腹に軽く力を入れて骨盤を立てるイメージを持つことが大切です。片足に体重をかけ続けるクセがある方は、左右均等に体重を分散させるよう心がけてみましょう。姿勢の崩れは腰椎への負担を増大させる要因のひとつとされています。
ウォーキングは、すべり症の方にも推奨される運動のひとつです。腰への負担が比較的少なく、全身の血行を促進する効果が期待できるためですね。ただし、長時間歩くと症状が出る場合は、休憩を挟みながら無理のないペースで行いましょう。
1回20分程度から始めて、体調に合わせて徐々に時間を延ばしていくアプローチがよいかもしれません。歩く際は、かかとから着地して足裏全体で地面を捉えるように意識すると、腰への衝撃を和らげられます。
夜間の姿勢も見逃せないポイントです。仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションを入れると腰への負担が軽減されるといわれています。横向きで寝る方は、両膝の間に枕やクッションを挟むとよいでしょう。
マットレスは柔らかすぎず硬すぎない、適度な反発力のあるものを選ぶことをおすすめします。体が沈み込みすぎると腰椎の自然なカーブが保てず、朝起きた時に痛みを感じやすくなる可能性があります。
自宅での筋トレやストレッチは有効な手段ですが、症状が重い場合は専門家の指導を受けることが重要です。特に初めて運動療法を始める際は、理学療法士の指導のもとで正しいフォームを習得することが推奨されます。
痛みの程度や体の状態は人それぞれ異なるため、自分に合った運動プログラムを組んでもらうことで、より安全かつ効果的に改善を目指せる可能性があります。
セルフケアを続けても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は、速やかに医療機関を来院しましょう。
| こんな症状が出たら要注意 | 対応方法 |
|---|---|
| 下肢のしびれが強くなった | 早急に医療機関を来院 |
| 排尿・排便に障害が出た | 緊急性が高いため即座に来院 |
| 足の筋力が低下してきた | 専門家による評価が必要 |
| 安静時にも強い痛みがある | 医師の検査を受ける |
医療機関では、画像検査を通じてすべりの程度や神経の圧迫状況を詳しく調べることができます。状態によっては、より専門的な施術が提案されることもあるでしょう。自己判断で放置せず、適切なタイミングで専門家に相談することが、症状改善への近道といえます。
腰椎すべり症に対する筋トレは、症状の緩和と予防に効果的な方法として期待されています。体幹筋を中心としたトレーニングによって、腰椎の安定性を高め、神経への圧迫を軽減できる可能性があります。
自宅でできる安全な筋トレとして、以下の5つをご紹介しました。
ただし、腰を反らす動作や大きくひねる動き、高負荷トレーニングは避けることが大切です。運動中に痛みを感じた場合は、すぐに中止して専門家に相談しましょう。
筋トレと併せて、腸腰筋や大腿直筋、殿部のストレッチを行うことで、より効果的に腰椎への負担を軽減できるでしょう。日常生活では正しい姿勢を意識し、ウォーキングなどの低負荷有酸素運動を取り入れることもおすすめです。
セルフケアで症状が改善しない場合や、下肢のしびれが強くなった場合は、速やかに医療機関を来院してください。専門家の指導のもと、自分に合った運動プログラムを実践することが、症状改善への確実な道となります。
継続的な運動と適切な生活習慣の見直しによって、すべり症と上手に付き合いながら、快適な日常生活を送れるよう心がけていきましょう。
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