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横隔膜が動く仕組みと胸郭の役割|正しい呼吸法で姿勢改善

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目次

横隔膜の構造と呼吸における役割

横隔膜の位置と形状(ドーム状の筋肉)

呼吸で最も大切な働きをしているのが横隔膜という筋肉です。横隔膜は胸とお腹の間に位置していて、パラシュートのようなドーム状の形をしています。肺の下から胃や肝臓の上にかけて、ちょうど肋骨の内側を覆うように広がっているわけです。この独特な形があるからこそ、息を吸ったり吐いたりするたびに効率よく肺を動かせるのですね。中央には腱中心という丈夫な膜があり、その周りを筋肉が取り囲む構造になっています。

横隔膜が収縮・弛緩する仕組み

息を吸うとき、横隔膜は収縮して下方へ移動します。すると胸腔が広がり内部の圧力が下がることで、空気が自然と肺に吸い込まれていくのです。反対に息を吐くときには、横隔膜が弛緩して元のドーム状の位置に戻ります。その結果、胸腔が小さくなって肺から空気が押し出される仕組みになっているわけですね。まるで風船を膨らませたりしぼませたりするような動きで、呼吸がコントロールされています。

安静時呼吸の70%を横隔膜が担う理由

安静時の呼吸では、1回の換気量の約70%を横隔膜だけで担っていると言われています。これだけ大きな割合を占めているのは、横隔膜が胸郭の下部全体を覆う大きな筋肉で、効率的に肺を広げられるからです。肺そのものには筋肉がないため、呼吸の動きのほとんどは横隔膜に支えられているのですね。残りの約30%は肋間筋などの補助呼吸筋が担いますが、日常の落ち着いた呼吸では横隔膜が主役として活躍しています。

横隔神経による支配と無意識の呼吸

横隔膜は頸椎の3番から5番(C3-C5)から出る横隔神経によって支配されています。脳からの信号が脊髄を通じて横隔神経に伝わることで、横隔膜が動く仕組みになっているのです。このような神経の働きがあるため、私たちは眠っているときでも意識せずに呼吸を続けられます。つまり横隔膜は、生命維持に欠かせない無意識の呼吸リズムを支える重要な筋肉と言えるでしょう。

胸郭の構造と呼吸時の動き

胸郭を構成する胸椎・肋骨・胸骨の関係

胸郭は呼吸を行うための骨格として重要な役割を持っています。後方に12個の胸椎、左右に12対の肋骨、前方に胸骨という3つの要素で構成されているのです。これらが鎧のような形を作り、肺や心臓を守りながら呼吸に合わせて柔軟に動ける構造ですね。肋骨は胸椎と関節でつながり、第1から7番目の肋骨が前方の胸骨と連結しています。

ポンプハンドルモーション(胸郭上部の動き)

胸郭の上部、つまり第1から6番目の肋骨ではポンプハンドルモーションという動きが見られます。自転車の空気入れの持ち手を前に引くような、前後方向に胸郭が広がる動きです。息を吸うとき肋骨が胸椎との関節を軸に回転して前上方に持ち上がることで、胸郭の奥行きが広がる仕組みになっています。

バケツハンドルモーション(胸郭下部の動き)

第7から10番目の肋骨では、バケツハンドルモーションと呼ばれる左右方向の動きが起こります。バケツの取っ手を横に持ち上げるような動きで、胸郭の横幅が広がるのが特徴です。深呼吸や運動時には、この横方向への広がりがより大きくなると言われています。

肋間筋(外肋間筋・内肋間筋)の働き

肋骨と肋骨の間には肋間筋という筋肉があり、呼吸をコントロールしています。

  • 外肋間筋:息を吸うときに収縮して肋骨を引き上げ、胸郭を広げる
  • 内肋間筋:息を吐くときに収縮し、肋骨を引き下げて胸郭を狭める
  • この2つの筋肉が協調することでスムーズな呼吸が可能になる
  • 呼吸の深さや速度に応じて働きを調整している
  • 胸郭の可動性に大きく関与する重要な筋肉群

キャリパー運動(浮動肋の動き)

第11と12番目の肋骨は浮動肋と呼ばれ、胸骨につながっていないため自由度が高いのが特徴です。キャリパー運動という独特な動きをしていて、トングのように外側と内側へ開閉します。普段の呼吸ではあまり意識されませんが、胸郭全体の拡張に貢献しているのです。

腹式呼吸と胸式呼吸の違いとメカニズム

腹式呼吸:横隔膜の上下運動による空気の取り込み

腹式呼吸は横隔膜の上下運動を使って空気を取り込む呼吸法です。息を吸うとき横隔膜がお腹側に下がることで肺が広がるスペースができ、空気が入り込む仕組みになっています。横隔膜が下に下がると内臓が下方向と前方向に移動するため、お腹が膨らんでいくわけですね。胸式呼吸に比べて深い呼吸ができます

胸式呼吸:肋骨周囲の筋肉と横隔膜の連携

胸式呼吸は肋間筋を使って肋骨を動かし、胸郭の拡張によって呼吸を行う方法です。肋骨の上げ下げによって肺を膨らませたり縮めたりする呼吸法と言えます。普段の生活で無意識にしている呼吸は、この胸式呼吸であることが多いのです。ただし胸郭の動く範囲は横隔膜よりも少ないため、腹式呼吸のほうが肺活量は多いと言われています。

理想的な「腹胸式呼吸」の概念

実際の呼吸では横隔膜と肋間筋の作用が組み合わさって行われているため、腹式呼吸だけで呼吸しているわけではありません。この両方の作用を効率よく使う呼吸が胸腹式呼吸です。深く効率の良い呼吸をするためには、胸郭のリラクゼーションを図りながら横隔膜の上下運動と連動させることが大切と言われています。

それぞれの呼吸法のメリットとデメリット

呼吸法メリットデメリット
腹式呼吸副交感神経が優位になりリラックス効果、ストレス改善、免疫力向上、心肺機能向上お腹の中で音が感じられることがある程度
胸式呼吸交感神経が優位になりリフレッシュ効果疲れやすく酸素を取り込む効率が悪い、息切れのリスク

胸郭の歪みが呼吸機能に与える影響

胸郭の左側への偏位と日本人の90%に見られる特徴

実は日本人の約90%の人が、胸郭が骨盤の中心から左側へ偏っていると言われています。許容範囲は5mm以内のズレですが、それ以上胸郭が歪んでいると横隔膜にも呼吸にも悪い影響が出てくるのです。横隔膜は肋軟骨や胸椎、剣状突起に付いており、線維が走っている方向が異なっています。胸郭が歪むと線維の走行が乱れて横隔膜が動きづらくなり、深い呼吸がスムーズに行えなくなります

猫背やフォワードヘッド姿勢による胸郭可動域の制限

猫背などの姿勢不良は、胸椎が固く可動性が低下していることがほとんどです。円背姿勢では脊椎の後弯や肋骨が引き下がった胸郭の沈み込みが見られ、胸椎の後弯が増強することで椎体間が屈曲位となります。この椎体の屈曲は肋骨の前方回転を強要し、肋骨の可動範囲は減少し呼吸全体の動きが低下するわけです。

姿勢の悪さが横隔膜の動きを制限するメカニズム

胸椎が正しい位置からずれると、それに付随する肋骨の動きも悪くなります。肋骨がスムーズに動かせないと、吸気時に胸郭を十分に広げることができません。また、スマホやデスクワークなどで背中が丸まり、横隔膜が動きにくくなることで、使われなくなった横隔膜はかたまり下に膨らまなくなります。横隔膜の動きが制限されると、不良姿勢になる悪循環も生まれるのです。

呼吸が浅くなることで生じる首こり・肩こり

胸郭が十分に広がらないと肺も十分に膨らむことができず、一度に吸い込める空気の量が減少します。

  • 浅い呼吸を補うために呼吸筋がより頻繁に収縮する
  • 呼吸筋が疲労しやすくなり肩こりや首の凝りが発生
  • 背中の張りや緊張が慢性化する
  • 首すじや背中の筋肉が常に頑張る状態になる
  • 筋肉の疲労や緊張が首こり・肩こりの引き金になる

横隔膜と胸郭を活性化する呼吸法とエクササイズ

胸郭をリセットする方法(タオルを使った矯正法)

胸郭が左にズレていると呼吸が浅くなりやすいため、タオルを使ったリセット法が効果的です。仰向けで頭を畳んだタオルに乗せて、両脚を閉じて椅子の座面に踵を乗せます。背中側の肋骨下端に沿って逆V字の形に畳んだタオルを差し入れ、肋骨の内方後方回旋を促しながら胸を開きます。さらにお尻の下にもタオルを敷くことで、下がった横隔膜を押し上げることができるのです。これを1〜2分続けると横隔膜が活性化し、深い呼吸がスムーズに行えます

呼吸筋ストレッチの実践方法

呼吸筋ストレッチは吸う・吐くという呼吸をしっかり意識し、息を吸いきる、吐ききるまで行うことが効果アップの秘訣です。肩のストレッチでは、足を肩幅くらいに開いて立ち背すじを伸ばします。鼻から息をゆっくり吸いながら両肩を前から引き上げ後ろに回し、口から吐きながら肩の力を抜いて下ろすのです。呼吸はゆっくりと行い、筋肉を伸ばす・縮めることを意識しながらメリハリをつけることが大切です。

深呼吸の正しいやり方(呼気を意識する)

深呼吸では息を吸うことよりも吐くことが重要です。

呼吸の種類自律神経への影響効果
吸気交感神経が優位緊張・活動モード
呼気副交感神経が優位リラックス・落ち着き

落ち着きを取り戻すためには副交感神経が働く吐くほうの意識を持つことが有効になるのです。吸った時間よりもゆっくりと吐き出すことが、リラックス効果を高めるポイントになると言われています。

横隔膜呼吸がもたらす自律神経・内臓への効果

横隔膜をゆっくり動かす呼吸は副交感神経を刺激し、自律神経のバランスを整える効果が期待されています。深く呼吸することで副交感神経が優位になり、リラックスモードに入りやすくなると考えられているのです。横隔膜が内臓を下方向に優しく押す動きが内臓マッサージにもなるとされ、消化のリズムや腹部の血流に良い影響があるという声も聞かれます。

まとめ

横隔膜は胸とお腹の間に位置するドーム状の筋肉で、安静時呼吸の約70%を担っています。胸郭は胸椎・肋骨・胸骨で構成され、ポンプハンドルモーションとバケツハンドルモーションによって前後・左右に広がる立体的な動きをします。腹式呼吸と胸式呼吸はそれぞれ異なる自律神経への作用があり、理想的なのは横隔膜と肋間筋の両方を使う胸腹式呼吸です。

日本人の約90%は胸郭が左側へ偏っており、猫背やフォワードヘッド姿勢は胸郭の可動域を制限し横隔膜の動きを妨げます。呼吸が浅くなると呼吸筋が疲労しやすくなり、首こり・肩こりの原因となります。タオルを使った胸郭リセット法や呼吸筋ストレッチ、深呼吸の実践により、横隔膜と胸郭を活性化させることができます。深呼吸では吐く息を長くすることで副交感神経が優位になり、自律神経のバランスを整え内臓の働きにも良い影響を与えます。

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引用元:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Ab0457/_article/-char/ja/
https://neurotech.jp/medical-information/respiratory-disorders-after-spinalcordinjury/
https://www.kango-roo.com/learning/2265/
https://tarzanweb.jp/post-297149
https://chronicle-japan.jp/呼吸時の肋骨!/
https://www.kango-roo.com/word/14059
https://centralmedicalclub.com/column/abdominal-breathing-merit
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/54/well/
https://issin.biz/information/「呼吸」と「胸郭」の密接な関係
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/33/3/33_513/_pdf
https://kenko.sawai.co.jp/theme/202204.html
https://helico.life/monthly/250102-cough-respiratory-strech/


院長:高木

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