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骨盤後傾はなぜ起こる?原因となる筋肉の種類と姿勢への影響を徹底解説

骨盤後傾とは?基本的なメカニズムと見分け方
骨盤が後ろに傾くってどういう状態?
骨盤後傾という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、実際にどのような状態なのかピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。骨盤には上前腸骨棘と呼ばれるASISと、上後腸骨棘と呼ばれるPSISという2つの骨の出っ張りがあるのですが、これらの位置関係で骨盤の傾きを評価していきます。正常な状態では、PSISがASISより2〜3横指上方に位置しているのが理想的とされています。
正常な骨盤と何が違うの?
骨盤後傾になると、本来の位置関係が崩れてしまうのです。後ろ側の骨盤が下がってしまい、前側が相対的に上がってしまうため、骨盤全体が後ろに倒れたような状態となります。椅子に浅く座って背もたれに寄りかかる姿勢を想像してみてください。そのときの骨盤の状態が、まさに後傾している状態になります。
壁を使った簡単なセルフチェック
ご自身の骨盤が後傾しているかどうか、自宅で簡単に確認できる方法があります。壁にかかと、お尻、肩甲骨、後頭部をつけてまっすぐ立ち、腰と壁の間にできる隙間を確認するのがポイントです。手のひら1枚分程度の隙間であれば正常な状態ですが、ほとんど隙間がない場合やこぶし2つ分以上空いてしまう場合は、骨盤が後傾している可能性が考えられます。
骨盤後傾が引き起こす姿勢の問題
骨盤が後傾すると、体全体のバランスを保とうとして背骨の自然な湾曲が失われていきます。その結果、背中が丸まった猫背や、背骨がまっすぐになってしまう平背と呼ばれる姿勢になりやすくなるのです。平背は一見すると姿勢が良く見えますが、背骨本来のS字カーブが失われているため、体への衝撃を吸収できずに腰痛や背中の痛みにつながることがあります。
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骨盤後傾の原因となる3つの主要筋肉
太ももの裏側のハムストリングス
骨盤後傾を引き起こす主要な筋肉として、まず挙げられるのがハムストリングスです。ハムストリングスは大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋という3つの筋肉の総称で、骨盤の下にある坐骨から膝の裏側にかけて縦に伸びています。デスクワークで長時間座っていると、この筋肉が縮んだ状態が続いてしまうんですね。ハムストリングスが硬く短縮すると、坐骨を膝の方向へ引っ張り続けるため、骨盤が後ろに傾きやすくなります。
お尻の大殿筋が弱ると骨盤が不安定に
お尻にある大殿筋も骨盤の傾きに深く関係している筋肉といえます。大殿筋は股関節を伸ばすときに働く筋肉で、歩行時に前に進む推進力を生み出す役割があります。運動不足や加齢によって大殿筋が弱ってしまうと、骨盤を支える力が低下し、骨盤が後ろに傾いた状態を維持できなくなるのです。さらに大殿筋が硬くなってしまった場合も、骨盤を後傾位に固定してしまう要因になるといわれています。
股関節を曲げる腸腰筋の筋力低下
腸腰筋は腰椎から大腿骨につながる深層の筋肉で、股関節を曲げる動作を担っています。この筋肉は骨盤を前に傾ける働きを持つため、腸腰筋の筋力が低下すると骨盤を前傾させる力が弱まり、相対的に後傾しやすくなってしまうわけです。骨盤が後傾位になると腸腰筋自体も働きづらい環境になるため、さらに筋力低下が進むという悪循環に陥りやすくなります。
筋肉のバランスが崩れるメカニズム
骨盤後傾は、ハムストリングスが優位に硬くなる一方で、腸腰筋や大腿四頭筋といった骨盤を前傾させる筋肉が弱化するという筋肉の不均衡によって起こります。座りっぱなしの生活では、ハムストリングスが縮んだ状態が続き、腸腰筋を使う機会も減少してしまいます。このように筋肉のバランスが崩れた状態が長く続くことで、骨盤が後ろに傾いた姿勢が定着してしまうのです。
筋肉名 | 状態 | 骨盤への影響 |
---|---|---|
ハムストリングス | 硬く短縮 | 坐骨を引っ張り後傾を促進 |
大殿筋 | 弱化・硬直 | 骨盤の安定性低下 |
腸腰筋 | 筋力低下 | 前傾させる力が弱まる |
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骨盤後傾を引き起こす生活習慣と姿勢の問題
デスクワークが筋肉に与える影響
現代人の多くが抱える骨盤後傾の問題は、実は日常の何気ない習慣から始まっているのです。特に長時間のデスクワークでは、座った状態が何時間も続くことで筋肉が固まった状態になっていきます。椅子に座り続けると、ハムストリングスや大殿筋といった筋肉が縮んだまま維持され、柔軟性が失われやすくなるんですね。
浅く座る癖と脚を組む習慣の影響
椅子に浅く腰かける癖がある方は要注意です。浅く座ると体を支える面積が狭くなるため、自然と骨盤が後ろに倒れやすい状態になります。さらに脚を組む習慣があると、骨盤の左右バランスが崩れるだけでなく、後傾した姿勢がより固定されてしまうことがあります。背もたれに寄りかかる座り方も同様で、坐骨が前方にズレて骨盤全体が後方へ傾くメカニズムとなります。
運動不足が引き起こす筋力低下
運動不足による筋力低下も骨盤後傾の大きな要因といえます。特に腸腰筋や大腿四頭筋といった骨盤を前傾させる筋肉が弱ってしまうと、骨盤を正しい位置に保つ力が低下していきます。加齢とともに筋肉量が減少することもあり、意識的に体を動かす習慣がないと骨盤後傾が進行しやすくなるのです。
猫背姿勢の悪循環
骨盤後傾と猫背姿勢は互いに影響し合う関係にあります。骨盤が後ろに傾くと背中が自然と丸くなり、猫背の姿勢が習慣化されていきます。その猫背姿勢が続くことでさらに骨盤を後傾させる力が働くため、悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。
- 長時間のデスクワークで筋肉が固まる
- 椅子に浅く座る癖が骨盤を後傾させる
- 脚を組む習慣で左右のバランスが崩れる
- 運動不足で骨盤を支える筋力が低下
- 猫背と骨盤後傾の悪循環
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骨盤後傾が体に与える影響
腰への負担と腰痛のリスク
骨盤後傾がもたらす体への影響は想像以上に大きいものです。まず挙げられるのが腰痛との関係で、骨盤が後ろに傾くことで腰椎の自然な湾曲が失われてしまいます。本来S字カーブを描くことで体への衝撃を吸収している背骨が、骨盤後傾によってストレートな状態になり、腰部にかかる負担が何倍にも増加してしまうのです。この状態が続くと腰の筋肉や靭帯が常に引っ張られ、慢性的な腰痛につながる可能性があります。
姿勢の崩れから起こる肩こりや首こり
骨盤後傾は背中を丸めた猫背姿勢を引き起こしやすく、さらに肩が内側に入る巻き肩にもつながります。頭が前方に突き出たストレートネックの状態になると、首や肩の筋肉に大きな負荷がかかり続けるため、肩こりや首こりが慢性化しやすくなるんですね。首肩の血流が滞ることで、頭痛や眼精疲労といった症状にまで発展するケースもあります。
ぽっこりお腹と内臓への影響
骨盤が後ろに傾くことで下腹部が前に突き出して見えるのも特徴的です。これは骨盤が後傾した状態で背中が丸まると、内臓が下方に押され、本来の位置から下がってしまう内臓下垂が起こるためといわれています。骨盤底筋群の筋力低下と相まって、内臓を支える力が弱まり、下腹部に集まることでぽっこりとしたお腹になってしまうのです。
膝痛やO脚、冷えやむくみへの連鎖
骨盤後傾はO脚の原因にもなり、膝の内側に負担がかかりやすくなります。O脚の状態が続くと膝の軟骨がすり減り、変形性膝関節症といった深刻な問題へと発展するリスクがあるため注意が必要です。さらに骨盤の歪みによって血液やリンパの流れが滞ると、冷え性やむくみといった症状も出やすくなります。
症状 | 原因 |
---|---|
腰痛 | 腰椎の自然な湾曲が失われ負担増加 |
肩こり・首こり | 猫背・巻き肩・ストレートネック |
ぽっこりお腹 | 内臓下垂により下腹部が突出 |
膝痛・O脚 | 膝の内側に負担がかかる |
冷え性・むくみ | 血液やリンパの流れが滞る |
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骨盤後傾を改善する筋肉別ストレッチと筋トレ
太もも裏のハムストリングスをゆるめる
骨盤後傾を改善するためには、硬くなった筋肉を伸ばしながら弱った筋肉を鍛えるアプローチが大切です。ハムストリングスのストレッチは座位、仰向け、立位とさまざまな姿勢で行えます。椅子に座った状態で片足を前に伸ばし、背中をまっすぐ保ったまま上体を前に倒す方法は手軽に取り組めておすすめです。つま先の向きを上向き、外向き、内向きと変えることで、ハムストリングスの内側と外側をまんべんなく伸ばせます。仰向けで膝を伸ばした脚を天井に向けて引き寄せる方法も効果的です。
お尻の筋肉を整える大殿筋ストレッチ
大殿筋が硬くなっている場合は、仰向けに寝た状態で片方の膝を両手で抱えて胸に引き寄せる方法が有効といえます。このとき、反対側の脚は伸ばしたままにして、お尻の筋肉がしっかり伸びているのを感じながら20〜30秒キープしましょう。
腸腰筋を鍛えて骨盤を支える
腸腰筋の筋力をアップさせるには、椅子に座った状態で片足ずつ膝を持ち上げる端座位エクササイズが効果的です。また、仰向けに寝て膝を立てた状態からお尻を持ち上げるヒップリフトも、腸腰筋と大殿筋を同時に鍛えられる優れたトレーニングといえます。肩から膝まで一直線になる位置でお尻をキュッと締めるよう意識して、20回×3セットを目安に行いましょう。
プランクとドローインで体幹を強化
腹筋群を強化するにはプランクとドローインが役立ちます。プランクを行う際は骨盤を後傾位に保ち、腹筋だけに効かせるよう意識することがポイントです。20秒×3セットから始めてみてください。ドローインはお腹をへこませたまま呼吸を続ける方法で、日常生活の中でも取り組みやすいトレーニングです。
日常生活で骨盤を立てる意識を持つ
ストレッチや筋トレと合わせて、日常の座り方を見直すことも重要です。椅子には深く腰かけ、坐骨が座面に左右均等に当たるよう意識しましょう。膝と股関節の角度を90度に保ち、足裏全体を床につけることで骨盤が立ちやすくなります。背もたれに寄りかからず、骨盤で体を支えるイメージを持つと良い姿勢をキープできます。
- ハムストリングスのストレッチ(座位・仰向け・立位)
- 大殿筋のストレッチ(仰向けで膝を抱える)
- 腸腰筋の筋トレ(端座位エクササイズ・ヒップリフト)
- 体幹強化(プランク・ドローイン)
- 正しい座り方で骨盤を立てる意識
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まとめ
骨盤後傾は、ハムストリングスや大殿筋の硬直、腸腰筋の筋力低下といった筋肉の不均衡が主な原因です。長時間のデスクワークや浅く座る癖、脚を組む習慣、運動不足といった日常生活の何気ない行動が、骨盤を後ろに傾けた姿勢を定着させてしまいます。骨盤後傾は腰痛、肩こり、ぽっこりお腹、膝痛、冷え性といった体の不調を引き起こす可能性があるため、早めの改善が大切です。
改善には、硬くなったハムストリングスや大殿筋をゆるめるストレッチと、弱った腸腰筋や腹筋群を鍛える筋トレの両方が効果的です。座位・仰向け・立位でのハムストリングスストレッチ、仰向けでの大殿筋ストレッチ、端座位エクササイズやヒップリフトによる腸腰筋強化、プランクやドローインでの体幹強化を継続しましょう。日常生活では、椅子に深く座り、坐骨を左右均等に座面に当て、骨盤を立てる意識を持つことが重要です。骨盤後傾を改善することで、姿勢が整い、体全体の不調を予防することにつながります。
引用元一覧
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4522442
https://www.jinlab.jp/support/body_1sports_1exercise20.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10185389
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3794512
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10525568