
院長:高木お気軽にご相談ください!

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シンスプリントは正式には脛骨過労性骨膜炎と呼ばれ、すねの内側に痛みが出るスポーツ障害の一つです。運動時や運動後にすねの内側下方3分の1あたりに痛みを感じることが特徴的で、広い範囲にわたって鈍い痛みが続きます。
引用元:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/shin_splints/
すねの骨である脛骨には骨を覆う骨膜という薄い膜があり、ふくらはぎの筋肉が繰り返し脛骨を引っ張ることで骨膜にストレスがかかって炎症が起こるというメカニズムと考えられています。足のつま先を上げる動作や着地の衝撃が繰り返されることで、筋肉の付着部分に過度な負担がかかってしまうのです。
引用元:https://tsu-nakamuracl.com/blog/post-1784/
シンスプリントの発症にはいくつかの要因が関わっています。最も大きな原因はオーバーユース、つまり使いすぎです。急に運動量が増えたり、今まで以上のトレーニング強度に体がついていけないときに発症しやすくなります。
中学生や高校生が部活動を始めた直後や、新しいスポーツに挑戦したときに痛みを訴えるケースが多いのもこのためといえるでしょう。また、アスファルトのような硬い路面でのランニングは足への衝撃が強くなり、すねへの負担も大きくなります。
シューズの問題も見逃せません。クッション性が低下した古いシューズや、自分の足に合っていないシューズを使い続けることで衝撃吸収がうまくいかず、すねへの負荷が増してしまいます。さらに偏平足など足のアーチが崩れていると、着地時の衝撃を分散できずに特定の部位に負担が集中しやすい状態になります。
引用元:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/shin_splints/
シンスプリントの症状は段階的に進行していくことが知られています。第1段階では運動後に痛みが出るものの、ウォームアップをすることで軽減されることがあります。第2段階になるとウォームアップで一時的に痛みは和らぎますが、運動後に再び痛みが現れるようになります。
第3段階では運動中も常に痛みを感じるようになり、第4段階まで進むと日常生活でも常に痛みがある状態になってしまいます。初期は少し違和感を覚える程度ですが、放置すると何もしていなくても痛みが現れ、走ることが困難になるほど悪化する可能性があります。
| 比較項目 | シンスプリント | 疲労骨折 |
|---|---|---|
| 痛みの範囲 | 10センチ程度の広い範囲 | 5センチ以下の狭い範囲 |
| 痛みの質 | じんわりとした鈍痛 | 限局した鋭い痛み |
| ウォームアップ効果 | 痛みが和らぐことがある | 痛みが持続する |
| 運動中の状態 | 段階的に悪化 | セッション中も前後もずっと痛い |
引用元:https://www.nike.com/jp/a/stress-fracture-vs-shin-splints
#シンスプリント #脛骨過労性骨膜炎 #すねの痛み #スポーツ障害 #オーバーユース


すねの前側にある前脛骨筋のストレッチは、シンスプリントの痛みを和らげる基本といえます。椅子に座って行う方法では、片足のつま先と足の甲を床につけて、膝を前に押し出すように伸ばしていきます。立位で行う場合は、片足を後ろに引いて足の甲を床につけた状態で、痛みのない範囲で20秒ほどキープするとよいでしょう。
正座から行う変形ストレッチもおすすめです。正座の状態からつま先をやや内側に向け、片方の膝を手でつかんでゆっくり引き上げていきます。すねの前側が心地よく伸びているのを感じられるはずです。
壁を使った基本のカーフストレッチは、足を前後に開いて壁に手をつき、後ろ足のかかとを床につけたまま体を前に倒していく方法です。背筋を伸ばして15〜30秒キープしましょう。これは腓腹筋を中心に伸ばす効果があります。
ヒラメ筋を特に伸ばしたい場合は、後ろ足の膝を軽く曲げた状態で行うのがポイントとなります。ふくらはぎの下部に伸びを感じながら、反動をつけずにゆっくりとストレッチするように心がけてください。
座った状態で片足をもう一方の太ももに乗せ、足首を内側にゆっくりと曲げていく動作が効果的です。つま先を外側に向けるように調整すると、後脛骨筋がより伸びやすくなります。15〜30秒間キープして、左右交互に2〜3回繰り返すとよいでしょう。
無理に力を入れず、心地よい伸びを感じる程度に調整することが大切になります。
テニスボールやゴルフボールを床に置き、足裏で転がして筋膜をほぐしていく方法です。土踏まずから指の付け根にかけてボールを当て、体重をかけながらゆっくり動かします。1回40秒を目安に行うことで、足裏の緊張がほぐれていくのを実感できるでしょう。
段差や踏み台を使ったアキレス腱伸ばしは、かかとが出るように足を置き、かかと側に体重をゆっくりかけていく方法です。ヒールドロップと呼ばれるこのストレッチも、1回40秒を目安に行います。呼吸を止めず、反動をつけないようにじっくりと伸ばすことが重要です。
#シンスプリントストレッチ #前脛骨筋 #ふくらはぎストレッチ #足裏ほぐし #アキレス腱ストレッチ


運動後のアイシングは、シンスプリントの痛みを和らげる基本的なケア方法となります。ビニール袋に氷を入れて患部にあて、1回15〜20分を目安に冷やしていきましょう。1時間ほど間隔を空けて繰り返すことで、炎症を抑える効果が期待できます。
紙コップを使ったアイスマッサージもおすすめです。紙コップに水を2/3ほど入れて凍らせ、上部を破って持ち手にします。痛みが強い部分を中心に、すねの内側を縦に滑らせるように2〜3分程度動かしながら冷やしていくと、短時間で十分な冷却感を得られるでしょう。
トゥレイズは座位で行うシンプルなトレーニングです。椅子に座り、足の甲を膝に近づけるように持ち上げ、つま先が上に反らないようにキープします。前脛骨筋の機能を高めることで、転倒予防にもつながります。
ヒールレイズは立った状態でかかとを上げ下ろしする運動で、ふくらはぎの筋肉に負荷をかけられます。膝を伸ばせば腓腹筋に、膝を曲げればヒラメ筋に効果的です。20〜30回を1セットとして、3セットを目安に行いましょう。
タオルギャザーは足指でタオルを引き寄せる運動で、足底の筋肉を鍛えることができます。
アーチサポートやクッション性のあるインソールは、着地時の衝撃を吸収し、すねへの負担を軽減してくれます。自分の足のアーチに合ったインソールを選ぶことで、シンスプリントの予防につながるでしょう。
すねやふくらはぎを指でほぐしていくセルフマッサージも有効です。硬くなった筋肉をゆっくりとほぐすことで、血流が改善され疲労回復が促されます。適切な休養日を設けることも忘れてはいけません。
#アイシング #筋力トレーニング #インソール #セルフマッサージ #栄養補給


ウォームアップとクールダウンは、シンスプリントの予防に欠かせない習慣です。運動前には動的ストレッチで筋肉を温め、関節の可動域を広げていきましょう。軽いジョギングやもも上げなどで体温を上げてから本格的な運動に入ることで、筋肉が急激な負荷に対応できるようになります。
運動後には静的ストレッチでクールダウンを行います。ふくらはぎや前脛骨筋をゆっくり伸ばすことで、疲労物質の蓄積を抑え、筋肉の回復を促すことができるでしょう。
トレーニング量を急激に増やすと、すねへの負担が一気に高まります。10%ルールという予防の基本ルールがあり、1週間あたりの運動量を10%以上増やさないようにすることで、体が徐々に適応していくことができます。たとえば今週30km走ったなら、来週は33km程度を目安にするとよいでしょう。
クッション性の高いランニングシューズは、着地時の衝撃を和らげてくれる大切なパートナーです。足のサイズだけでなく、土踏まずのアーチや幅にも合ったものを選ぶことがポイントとなります。一般的には400〜800kmほど走ったら新しいシューズへの買い替えを検討しましょう。
硬いアスファルトでのランニングは足への衝撃が強く、すねに大きな負担をかけてしまいます。可能であれば公園の土の道や芝生の上でトレーニングすることで、地面からの反発力を和らげることができるでしょう。
正しい歩行姿勢やランニングフォームを身につけることも重要です。着地位置が体の真下に近いほど、すねへの負担は軽減されます。
偏平足や回内足は、足のアーチが崩れて衝撃を分散できない状態です。足の骨格バランスが崩れると、筋肉や関節に余計な負担がかかりやすくなってしまいます。アーチサポート機能のあるインソールを活用することで、足の動きを安定させ、すねへの負担を和らげることができるでしょう。
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安静にしていても痛みが続く場合や、2週間以上セルフケアを続けても症状が改善しない場合は、専門家に相談するタイミングといえます。すねの腫れが引かない場合も、疲労骨折など別の問題が隠れている可能性がありますので、医療機関を来院して詳しく調べてもらうことが大切でしょう。
痛みを我慢して運動を続けることは、症状を悪化させる原因となってしまいます。早めの対応が回復への近道です。
シンスプリントの症状はWalsh分類という段階評価で判断されることがあります。Stage1は運動後にのみ痛みが出る段階で、スポーツ活動の制限は必要ないとされています。Stage2では運動中に痛みがあるもののパフォーマンスには支障がない状態です。
Stage3になると運動中の痛みがパフォーマンスに影響を与え、Stage4では日常生活でも常に痛みがある状態となります。Stage3以上では運動を一時的に控える必要が出てきます。
| 症状の程度 | 回復期間の目安 | 復帰アプローチ |
|---|---|---|
| 軽度 | 2〜4週間 | ウォーキング→ジョギング |
| 中等度 | 4〜8週間 | 段階的な負荷増加 |
| 重度 | 3ヶ月以上 | 専門家の指導が必要 |
復帰を急ぐと再発のリスクが高まりますので、段階的なアプローチが重要となるでしょう。
スポーツ復帰は、まずウォーキングから始めます。痛みが出なければ軽いジョギングに移行し、それも問題なければランニング、そして最終的に競技復帰という流れで進めていきます。焦らずに各段階で体の状態を確認しながら進めることが、再発を防ぐポイントです。
整体や接骨院では体のバランスを整える施術を受けることができます。理学療法士によるフォーム指導も、根本的な原因を解決するために有効でしょう。医療機関では保存療法を中心に、必要に応じて薬物療法なども行われることがあります。
再発を防ぐためには、ストレッチや筋力トレーニングを継続的に行い、定期的に体のメンテナンスをしていくことが欠かせません。運動前後のケアを習慣化し、体の声に耳を傾けながら活動していくことが大切です。
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シンスプリントは、すねの内側に痛みが出る脛骨過労性骨膜炎で、ランナーや部活動をする学生に多く見られるスポーツ障害です。オーバーユースや急激な運動量の増加、硬い路面でのトレーニング、足に合わないシューズ、足のアーチの崩れなどが主な原因となります。
予防と改善には、前脛骨筋・ふくらはぎ・後脛骨筋のストレッチが効果的で、1回20〜40秒を目安に1日2〜3セット行うことが推奨されます。ストレッチに加えて、運動後のアイシング、トゥレイズやヒールレイズなどの筋力トレーニング、インソールの活用、そして適切な栄養補給も重要なセルフケアとなります。
日常生活では、ウォームアップとクールダウンの習慣化、1週間あたり10%以内の運動量増加、クッション性の高いシューズ選び、硬い路面を避けた環境選び、正しいフォームの習得、足のアーチ維持を心がけましょう。安静時にも痛みがある場合や2週間以上症状が改善しない場合は、専門家への相談が必要です。
Walsh分類によるステージ評価を参考に、軽度なら2〜4週間、中等度なら4〜8週間、重度なら3ヶ月以上の回復期間を見込み、ウォーキングからジョギング、ランニング、競技復帰へと段階的に進めることで、再発を防ぎながら安全にスポーツへ復帰できます。継続的なストレッチ習慣と定期的な体のメンテナンスが、シンスプリントの予防と再発防止の鍵となるでしょう。